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キョンの消失
プロローグ・放課後

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「ねぇ、そんなにいつも二人でさ、よく会話が続くわよね」
 ハルヒは首だけ後ろに向けながら俺達に話しかけてきた。
 なんだ突然。それを言うならお前らだって、いつも三人で色々盛り上がって話してるじゃねぇか。
「そりゃそうよ。女の子には女の子だけの共通の秘密ってのがあるもんなのよ」
 秘密ねぇ。まぁ俺たちも似たようなもんだから詮索はしないさ。
 ただ俺と古泉の会話は決して男の友情とかではなく、ほぼ終始ハルヒ元気予報についてである。
 やれ機嫌を取れだとか、次のイベントは何を始めようだとか、緊急事態ですとか、そんなのばかりだ。
 まあ古泉が突然「いえね、このビデオの女優が朝比奈さんに似てかなり巨乳なんですよ」とか
「高校卒業までにチェリーボーイも卒業したいですね」とか、まるで万年発情期の谷口の様なことを言い出したらそれはそれで緊急事態に思えてくるが。

「あら、キョンは女の子の秘密が気にならないの? ここだけの話、みくるちゃんとかマジで凄いわよ」
 すまん、いきなり気になった。何がどう凄いんだか教えてくれ。
 何だったら今から例の喫茶店で全額おごってやってもいいぞ。
「本当? じゃああたし達の先月の健康診断の結果と先週の日曜日の過ごし方、どっちがいい?」
 やばい、そのカードはマジで魅力的だ。凄いぞ女の子の秘密。ビバ女の子の秘密。
 ハルヒ団長、今日はメニューの端から端まで頼んじゃってもよろしいです。

「ふえっ、涼宮さん、だめですよぅ! それどっちも秘密だって言ったじゃないですかぁ!」
 朝比奈さんは声を大にし両手をばたつかせ顔を赤らめながら必死になってハルヒを止めにかかった。
「だ、そうよ。という訳で、みくるちゃんの秘密はあんたが女の子になったら教えてあげるわ」
 ハルヒはただ朝比奈さんをからかいたかっただけなのだろう。そんな慌てふためく様子に満足していた。
 俺もその辺はわかっててボケた訳だが。
 いや本当だぞ。
 だからそんなドムホルンリンクルを監視する人の様な目つきで俺を見つめるな、長門。

「俺が女性にか。そうだな、そうなったら色々教えてもらうよ」
「そん時はもちろんアンタの秘密と交換よ」
 俺の休日の過ごし方一つで朝比奈さんの神秘がわかるなら、そんなモノいくらでも教えてやるぞ。
「キョンの? ……ふぅん」



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