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キョンの消失 --- |
_ | _ | - * - 「見つけた! 探したわよ、キョン!」 やれやれ。今一番顔を合わせたくない、騒がしいヤツに見つかったようだ。 さて俺はどこまで照れずに向かい合えるだろうね。 向こうからづかづかと近づいてくる気配に、なるたけ平常心を持って俺は振り向いて見せた。 「どうした、ハル……」 と、突然ネクタイを掴まれて顔を引き寄せられる。良く見たら凄い怒りの形相だ。 何だ何だ、何があった。俺が問いただそうとした時、ハルヒは最大級の音量で告げてきた。 「……あたしは認めないッ! 認めないわよッ! ふざけんじゃないわよ、キョンっ! あんた、あたしや有希ッ! みくるちゃんッ! 古泉くんッ! それにみんなの事、全部バカにしてんのッ!?」 な、ちょ、ちょっと待てハルヒ。許さないって、いったいぜんたい何の話だ。 俺の戸惑いにハルヒは全く耳を貸さず、ただひたすらに、心にまで響く大声で叫び続けてきた。 「うるさいっ!! キョンッ! あんたが、──────」 「────あんたが勝手に世界から消えて、『はいお終い』だなんていうそんな三文芝居的な終わり方────」 「あたしは絶っっっ対に認めないんだからあぁっ!!」 - * - その瞬間、一瞬にして視界が白く輝きだした。 『そういうあんたはどーなのよ。男作って楽しめとかいうなら、あんたが作って試してみなさいよ。 『何言ってんだ、お前は俺的ランク外だぜ? って冗談冗談。俺は友人は全部ランク外扱いにするって掟を立ててんだよ』 『あぁ、その『総理』って書いてあるケーキがわたしからのだ』 『わたしがお嫁にいけなかったら、キョンさんずっと一緒にいてくれますか……』 『キョンは昔から変な女だったからねぇ。でもさ、涼宮さんとは気が合うんじゃない?』 『どーしてもっていうなら、あたしでもいいけどさ。それともまさか……キョンみたいな平々凡々が好みなの?』 『メガネない方が可愛いぜ。わたしにはメガネ属性なんて無いしな』 『お譲ちゃん一人かい? お譲ちゃん一人でストーブ持って帰るの、つらくないかねぇ』 『涼宮さんは、あなたを選んだんですよ。女性同士でも子供ができる世界なら、何も問題ありません』 『バニーガールよっ! あぁ、安心して。別にあんたには色気なんて無いものねだりしないから』 『谷口ッ、国木田ッ! 男子連れて教室を出ろッ! 今すぐ急げッ!!』 『これからはあなたに涼宮さんへの連絡とか任せるわ。女の子同士、仲良くしてあげてね』 『キョン、じゃんじゃんボールあげていいわよっ! 阪中さんたちもね! あたしが全部叩き込んであげるわっ!』 『やぁ、キョンちゃんとそれに相手にされないお友達たち、いらっしゃ〜いっ!』 繭の中に逆立ち状態で閉じ込められたらこんな気分になるだろうか。 『──おつかれさま、キョン』 天地もわからずただ情報と衝撃の濁流に飲み込まれ、わたしの意識はゆっくりと途絶えていった、 その時。 「………っざけんなあぁ────────────────────っ!!」 全ての思いが一つになったような咆哮を聞いた、気がした。 _ | _ |
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